真説「笑える時代つくろうや」
「アバター」ときいて自己啓発セミナーを思い浮かべた人は、アタクシぐらいだろうか。
関連性は全くないと思うがよくもまあこんな当たり触るタイトル選んだものだ。とにかく名前というのは本人が意識するもしないも似たような名前はいくらでもあって、それが悪党とか犯罪者とかそんな縁起悪いのと被るとあまり良い気がしないもの。
そういや昔、逆手にとって「悪魔」と名前つけた親がいた。結局審査が通らなくて改名したらしいけど良い名前ではあったと思う。ただ本名はちと厳しかろうので、アバターの名前にするとかならまだ許せたんじゃないか。ゴス系の人はよくそういうの見かけるし、本名じゃないからシャレで済むってとこあるんだろうな、きっと。
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ところで「アバター」を観てアバターもエクボーなどと下らないシャレを思いつくくらい何不自由なく平和に暮らしてる人は、きっと幸せだ。けれどもその幸せは、世界じゅうにたくさん存在する不幸な人々に思いが至らないからこその盲目的な独りよがりの幸せであってけっして幸福感に包まれてることが正しいともいえない。
今の世は幸と不幸、持てる者と持たざる者、完全に二分している。不況であるのは間違いないが、その一方で便利な世の中になりつつあるのも確かだ。便利で中途半端に金がないものだから、人の心はよけいに荒んでくるのだと思う。そんな憂さを晴らすために人はネットに群がる。ヒマがあるからそんなことやるとか云う人がいるがそれは無理解だ。ヒマも金もなくて、でもそんな下層の身分でもネットカフェやら何なりでネットだけは十二分につながるし、どれだけ金がなく忙しくてもやる、やれてしまうのがネットの魅力であり底なしの恐ろしさでもある。最近じゃ発展途上国でさえネットは流通してるらしい。(ナイジェリア詐欺)
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国の治安を維持するために必要なのは【パンとサーカス】である。
ある程度貧乏して不満を募らせてる人も この二つがある程度充足していれば、我慢できるという古代ローマ人の考え方だ。パンは今の裕福な日本社会では多少の金さえあれば問題なく手に入るし、サーカスのほうはこのネット以外にも、あと「お笑い」がある。「お笑い」もよくよく考えてみるとじつに都合が良い。「お笑い」さえ流しておけばそこそこ平和なフリができる。しかし逆に「お笑い」で食ってる芸人さんは相当のプレッシャーだろう。とにかく笑わせてくれというのだ。笑えない時代なのに。手段、方法は問わない。あと番組制作サイドは金もなくなりつつあるので単発的に笑いが飛ばせる新人の一発芸に関心が向いてる。結果入れ替えが激しくなるし、大物株の芸人が育たない。当たらなければ当たらないうちに即捨てられるシビアな環境。不況の折「お笑い」は流行るというけど「お笑い」も楽じゃないんだなと思う。
今の「お笑い」は下品である。
それは芸人さんが悪いのではなく、即効性を促す今の時代環境がそうさせるのだ。まだ漫才の腕を競うステージは見ていられる。でもお笑いが占めるバラエティーはほんとうに下品だ。笑えないし、そんなことで笑いたくもない。中身が何もないのだから。生活に役立つ情報を流すバラエティー番組で、観客同然にひな壇座らせられてる芸人見てるとなんだか物悲しくなる。そうなのだ。ある程度顔の知れた芸人のリアクションさえあれば後は何もいらない。結局視聴者が見たいのは役に立つ情報なのだから。
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松本人志が起用されてる「笑える時代つくろうや」というCMがあるが、あのCMは実に皮肉を感じる。たしかにお笑いはオモシロい。けれども有益な情報は何一つない。ということはお笑いが頑張ると一時的な笑いは起こるが、笑える時代になってはいない。時代が笑えないからこそ、人はお笑いに縋るのだ。反比例してるといってもいい。
お笑いやってる人はそのつもりないかもしれないが、お笑い観る人間の大半は笑えない事実から目を背けてる。笑える時代をつくろうと思えば、お笑いなどに頼らずともみんなが笑って暮らせる生活を目指すべきだろう。つまりは笑えないことこそもっと笑うべきである。(もちろん不謹慎云々は横に置いとくとしてだ)
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戦時戦後など昔のお笑いのあり方はもっと上品だったろう。まず反体制の笑いとして世間に受容れられていた。つまりこれこそ笑えないことを笑おうとする本来あるべきお笑いの姿ではなかったか。
アタクシ思うのである。極論だが今の先進国にお笑いはいらない。というのはお笑いがダメというのじゃなし 文化的贅の限りを知り尽くした飽和状態の我々において お笑いはどんどん下品になるしか道がないからである。貴族階級が美少年集めなど悪趣味な好色に走ったのと同じ匂いだ。我々はもはや似非貴族。正義を思うなら、断捨離、終わるより道はないのでは、と。
喜捨という考え方だ。捨てるが良い行いと信じてこの際お笑いも捨てるべき。少なくとも今の日本はお笑いだけじゃダメなのだ。お笑い以上にやるべきことがたくさんあるのだから。
そんなことを思った今日この頃。。
ps.
ちなみに紹介しときながら実はアタクシ「アバター」の映画はまだ未見です。
ずっとパンドラの世界にいたい。現実が灰色に見える。
って人がアメリカのファンサイトで続出してるとのことで興味はありますが‥
文明批判とか描いてるらしいけどファンにしてみれば結局現実逃避の映画なのだろうか。
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